「きれいになると、お母さん嬉しいな」
子育ての本でよく見る、この言い方。
優しくて、いい伝え方のように感じますよね。
でも私は、ずっと違和感がありました。
それは、
「子どもをコントロールしている感じ」がしたからです。
I(アイ)メッセージとは
Iメッセージとは、「私」を主語にして、相手の行動に対する自分の気持ちや意見を伝える、心理学のコミュニケーション技法です。
相手を責めずに(YOUメッセージを使わずに)「悲しい」「困る」など、自分の感情を伝えるため、円滑な関係を保ちながら要望を伝えやすい手法です。
子育ての中でも、特にコーチングや自己肯定感のテーマの中でも有名で、本やネットで目にしたことが多い方もいらっしゃるでしょう。
つまり、YOU(あなた)が主語のメッセージではなく
I(私)が主語のメッセージで伝えましょう、というものです。
例えば、
YOU「早く支度をしなさい」
ではなく
I「支度してくれると(お母さんは)安心だな」
と、Iメッセージを用いることで、子どものやる気が出て、望ましい行動に結びついていくと言われています。
Iメッセージの違和感
しかし、こうしたIメッセージに違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。
私が感じた違和感は、
・暗に(心理的に)子どもの行動をコントロールしようとしている
・自分の意のままに操ろうとしている
という点です。
さらに言うと、
・「お母さん大好き」という自分に有利な心理的状態のもとに、「お母さんが喜んでくれるなら」と思わせ、自分の気持ちをもコントロールしようとしている
ということです。
「叱らずに望ましい行動が増えるならいいのでは」と思うかもしれません。
しかしその裏で、
・「やりたくない」「嫌だ」「もっとやりたい」といった本当の自分の気持ちに気づけない
・本当の自分の気持ちがあってもそれを言えない
といったことが起こる可能性もあるのではないでしょうか。
Iメッセージは便利なツールではない
Iメッセージを使うときには、使う側のスタンスがとても重要です。
・どんな親子関係を築こうとしているのか
・どんな人間に育ってほしいのか
こうした 価値観や考え方を意識する必要があります。
もしIメッセージを
「子どもを言うことを聞かせるための便利なツール」
として使ってしまうと、目の前の困りごとはなくなるかもしれませんが、子どもの心の成長に影響を与えかねません。
子どもが大きくなってから
・自分の本当の感情がわからない
・自分の気持ちを相手に伝えられない
といった、負の遺産を子どもに残して、子ども自身が苦しむ結果となることもあるのです。
特に、親のことが大好きで優しい子ほど、無意識に無理を重ねてしまい、後に苦しむことが多くなるのではと考えられます。
だからこそ、Iメッセージを使う時には、
”こどもを言うことを聞かせるための都合のいいツール”にしようとしていないか、
自覚的にならなくてはと思っています。
なぜIメッセージが危険なのか
Iメッセージが危険になるのは、
行動の理由が
「お母さんが喜ぶから」
「お母さんが悲しむから」
になってしまうからです。
「お母さんのために」という思いが自発的なものなら問題ありません。
しかしIメッセージの後だと、どうしても外発的なものになってしまいます。
子どもが、「嫌だけどやる」という時に、
・ただ「嫌だな」と思いながらやるのか
・「こうしないとお母さんが悲しむから…」と思いながらやるのか
この違いは、心への負担として積み重なっていきます。
その結果、大人になった時に、
・自分の本当の感情がわからない
・自分の気持ちが言えない
・判断基準が「親はどう思うか」が最重要となる
ということになり、これが無気力や鬱につながる要因となりうると思います。
自分の人生を生きられなくなってしまいます。
子どもはもともと、親の表情や機嫌をよく見ています。
その子なりに、「お母さんお父さんはどう思うかな」と自然に考えているものです。
それ以上に子どもに負荷をかける必要はないのではないでしょうか。
YOUメッセージで伝える意義
YOUメッセージで伝える方が自然な場合が多いです。
例えば、
手伝ってほしい時
I「ご飯を盛ってくれると嬉しいな」
YOU「ご飯を盛ってね」
「うるさい」時
I「静かにしてくれると嬉しいな」
YOU「もう少し静かにしてくれない?」
支度が遅い時
I「時間に遅れるから心配だな」
YOU「〇時に出るよ。支度して。」
ふつうは、このYOUメッセージでこどもが動くことはありません(笑)
しかし、もし、子どもが「それは嫌だ」と思っても、
Iメッセージに対するNOは、お母さん自身へのNOになってしまう。
(だからこそ、NOと言わせずに行動変容へ導く方法なのですが)
それに対し、YOUメッセージに対するNOであれば、
「なぜなのか」という客観的な理由を伝えることができます。
例
「ご飯を盛って」⇒「えーやだー」⇒「料理が遅くなっちゃったからお願い」
「うるさい」⇒「(そのまま)」⇒「近所迷惑だから!」
「支度して」⇒「(動かない)」⇒「時間に遅れるとあなたも恥ずかしいし周りにも迷惑なんだよ」
Iメッセージを使う時に大切なこと
Iメッセージを使うときに大切なのは、自覚的になることです。
・本当に自分が思っていることを伝えているか
・子どもを操作しようとしていないか
・子どもが本音を言える余白があるか
こうした点を意識することが必要です。
最後に
子育て中は本当に大変なことばかりで、
少しでも楽に、スムーズに一日を過ごしたいものです。
悩みもつきません。
ただ、どんな方法も「使い方次第」なのだと思います。
子どもが何を感じ、何を考えているのかに目を向けながら、
自分の気持ちも正直に伝えていく。
そして、子どもが自分の人生を自分で選び、歩いていけるように。
そのための関わり方を、これからも考えていきたいと思っています。

コメント